個展「眼を開けたまま眠る練習」
The rehearsal for sleeping with eyes open


Art Spot Korin(京都)
2022年6月14日(火)ー6月26日(日)

 

 

○展覧会ステートメント

 

本日はお越しいただきありがとうございます。
ちょっとしたことなのですが、この前冷蔵庫の奥で小さくひからびた玉ねぎを見つけました。私に気づかれないままずっとそこにいて、少しずつ小さくなっていった玉ねぎを思った時、昔授業でならった、ムシの時間を思い出しました。
哺乳類がくるまでじっと木で待っていること、その待ち時間を虫は知覚しておらず、哺乳類の上に落ちたときから時間がはじまるということ。
そして私は陶芸のことを考えました。
私のくらしと陶芸はいったりきたりでどちらも同じ場所で行うことはあまりなく、常に体の移動を伴っています。私が手で触れてつくる時間よりも、乾燥を待ったり焼成する時間の方が長いことがほとんどです。
こうして考えてみると、陶芸も暮らしも私の主観的時間で作り上げられているわけではないと気付きます。わたしのみていないところでなにが起きているのだろうと思いをはせる時、私と陶芸の関係性は、虫と時間の関係性と、どこか似ているように思えます。そんな作品は私にとって目を開けたままじっとなにかを待ちながら眠っているようなのです。