プールサイドは白がかったピンク色と水色に塗ってある
奥には高い壁があり、そこには剥げかけた白いペンキの十字架の塗装が見えた
私たちがプールサイドに立ち尽くしているあいだにも、ひっきりなしに人がやってきては水の中にはいり、皆同じように十字架の壁を目指し水の中を歩いていた
このプールは奥に行くほど深く作られているのが、壁だけを見てまっすぐ進む人たちを見て分かった
このプールに入ってゆく人たちは、みんな死ぬつもりらしい
遠くの人の頭はもう見えなくなりそうだった
十字架の元で死のうとするのなら、それは殉教なのだろうかと思った
プールサイドを走って壁の近くまで来ると、さっきまでは見えなかった非常階段があり、登った先に金属の小さな扉があった
もう追いつかれはしないだろうと話した。